長州産業株式会社は、ECN(註1)と共同してシリコン・ヘテロ接合(SHJ)太陽電池セル技術をメタル・ラップ・スルー(MWT)型のバックコンタクト太陽電池構造に応用する実験を実施しました。当社は、SHJ太陽電池に関して世界でもトップレベルの技術力を保有しています。一方ECNは、MWT構造に関して世界で最も進んだ研究所です。
この共同実験の結果、これまでMWT太陽電池での世界最高記録であった20.3%の変換効率を更新し、21.5%の効率が得られることが確認されました。
SHJ太陽電池は、三洋電機(現パナソニック)によって発明された技術です。この技術は高効率であることや、夏季の高温時にも性能低下が少ないことなどの理由から次世代太陽電池として非常に高い注目が寄せられています。
MWT太陽電池は、通常の太陽電池構造(業界ではH型パターンと呼ばれています)と比較して、多くのメリットを持っています。例えば、集電のための配線によって生じる影が少ないので高い電流が得られ、寒暖による気温の上下動に対しても耐久力を持ち、基板の薄型化が容易になり、低コスト高性能が得られやすいなどです。そしてまた、H型パターンを持つSHJ太陽電池の製造工程に対して、比較的簡単な変更を加えることでMWT-SHJ太陽電池を量産することが可能です。
この試作の成功に関して、ECNのWyers取締役は、「MWTの裏面接合技術は、SHJをはじめとするさまざまな構造の太陽電池に対して驚くほど容易に適用可能であることが実証された。」とコメントしています。
当社のSHJ技術とECNのMWT技術との融合により、国内の住宅屋根用太陽電池向けの次世代技術として高性能でコストパフォーマンスに優るMWTは、非常に重要な位置付けになります。競合他社との差別化を実現し、今後の当社の太陽光事業に大いに貢献するものであります。
(註1)ECNについて:ECNは、The Energy Research Centre of Netherlands(オランダ・エネルギー研究所)の略称です。この研究所は、革新的な太陽エネルギー技術を世界の産業界に向けて発信し続けています。ECNの技術は、太陽エネルギーを含め多岐にわたる再生可能エネルギー(バイオマス、風力、水素、クリーンな化石燃料利用)に及んでいます。これらの技術は産業界の多くの分野へ移転されています。
□太陽電池の形状
□世界最高記録を達成した156㎜角MWT型バックコンタクト構造太陽電池セル